Ofunato Fire Department Sumita Precinct 大船渡消防署住田分署
岩手県住田町/2018
住田町は人口約5,000人の山間の町であり、森林資源の活用に力を入れている。数年前に木造の町役場が完成して以降、町は中心市街地の木質化を推進しようとしているが、一方で江戸時代から栄えた街道筋に残る伝統的まちなみの整備・活用も課題となっている。現代性と伝統性を併せ持つ新しい木造建築が求められた状況で私たちは、柱・梁の接合部に日本の伝統建築に見られる貫(ぬき)構法を利用し、金物を一切使用せずにつくる「貫式ラーメン構造」による木造積層建築を提案した。接合部単体の強度は決して高くないものの、梁を多段にし、接合部の箇所数を増やすことで建物全体の剛性を確保するこの方式は、大量の木材を使用することで初めて成立する。木材のボリューム感と、それにより獲得された透明性が同居することで、伝統木造建築に相通ずるシンボリックさと、地域社会に開かれた親密さの両方を備えた建築となった。また、複数の大規模木造建築が隣り合って建つことで、木材の質感に溢れた独特の親密な都市空間が生まれた。地域資源を最大限に活用して生み出されたこれらの空間と風景は、これからの地域社会における公共建築のあり方や、景観形成の手法として大きなモデルケースになると考えている。(安原幹)
所在地:岩手県住田町
用 途:消防署
建 主:住田町
設 計:
・建築 SALHAUS
担当:安原幹、日野雅司、栃澤麻利、佐々木嶺、佐熊勇亮、高田正太郎
・構造 佐藤淳構造設計事務所
・設備 設備計画
・積算 ACE積算
・外構 STGK
・造成 ランズ計画事務所
・照明 岡安泉照明計画事務所
・サイン 氏デザイン
施 工:佐武建設・住田住宅産業・山崎工業特定共同企業体
敷地面積:4957.57m2
建築面積:732.82m2
延床面積:1029.74m2 (※分署棟のみの場合 924.64m2)
構 造:木造
階 数:地上2階
竣 工:2018.3
写 真:藤塚光政 、吉田誠(*)
location:Sumita-town, Iwate
main use:fire department
site area:4957.57m2
building area:732.82m2
total floor area:1029.74m2
structure:W
number of stories:2-stories
completion:2018.3
photo:Mitsumasa Fujitsuka, Makoto Yoshida(*)