Reclining House リクライニング・ハウス
神奈川県横浜市/2009
既存木造住宅の増築である。当初は三世帯住宅として建設された建物が後に敷地とともに分割され、今回の計画敷地内の既存母屋に建主の親世帯が、隣家には親戚世帯が住んでいた。若い夫婦の住居を、既存母屋に対して増築することになったのだが、そのためのスペースは二つの建物に挟まれた間口4mの細長い敷地のみである。例えるなら、列車の三人掛けシートの両側に先客が居て、真ん中の席に座ろうとする状況に近い。その状況で最大限に快適な環境を得る方法は、シートをリクライニングさせて自らの前に「抱き」の空間を確保することである。この建築も、そんな立ち方をさせよう考えた。3.6mしかない建物間口を両端であえて絞り、建物を出来る限り南北に引き延ばす。建物の南側半分を半階掘り下げ、スキップフロアとする。最上層には、南側にできるルーフバルコニーと一体化した目一杯大きな空間をつくり、家族室とする。平面的に斜めの壁や、屋根を三角形に切り取ってつくったトラスなどを耐震要素として作用させることで、家族室は内部に構造壁のないワンルーム空間とした。小さいながら、街並みから奥まった外観からは伺い知れぬ空間の広がりと、周辺の家にはない眺望を、内部に抱く家となった。(安原幹)
所在地:神奈川県横浜市
用 途:専用住宅
建 主:個人
設計:
建築 SALHAUS
担当:安原幹、日野雅司、栃澤麻利
共同設計:6D
構造 長坂設計工舎
設備 波田野建築設備設計事務所
施 工:大同工業
敷地面積:270.75m2
建築面積:既存棟 68.86m2+増築棟 39.14m2/合 計 108.01m2
延床面積:既存棟 135.25m2+増築棟 77.05m2/合 計 212.30m2
構 造:在来木造(増築+既存耐震改修)
階 数:地上2階
竣 工:2009.3
写 真:矢野紀行
location:Yokohama-city,Kanagawa
main use:private house
site area:270.75m2
building area:108.01m2
total floor area: 212.30m2
structure:W
number of stories:2-stories
completion:2009.3
photo:Toshiyuki Yano