鞘のような谷戸にすっぽりと包まれた静かな集落に立つ住宅。敷地は崖を背にしており、日照時間が限られ湿度も高いため、明るさと風通しを保つような家となることが望まれた。崖条例によりRC構造とすることが条件となり、崖に面する居室の開口は厳しく制限を受ける。そこで、連続した屋根を持つ3つのボリュームからなる建築を考えた。外壁長を確保することで崖の反対側に十分な開口部をつくり、周囲の風景を様々な角度から切り取ると同時に、自然採光と通風を確保した。内部は適度に分節されたひとつながりの空間とし、窓周りにはベンチやテーブル、バルコニーなど小さな居場所をつくり込んだ。家族が互いの気配を感じながらめいめいに居心地のよい場所を見つけ、適度な距離感を取って毎日を過ごすことができる家を目指した。（安原幹）

所在地：神奈川県横須賀市

用　途：専用住宅

建　主：個人
設　計：

・建築　SALHAUS
　担当：安原幹、日野雅司、栃澤麻利、北尾一顕
・構造　長坂設計工舎
・設備　ZO設計室

施　　工：葉山工務店

敷地面積：494.21m2
建築面積：86.43m2
延床面積：119.44m2
構　　造：RC造
階　　数：地上2階
竣　　工：2013年8月

写　　真：矢野紀行

location：Yokosuka-city,Kanagawa

main use：private house

site area：494.21m2

building area：86.43m2

total floor area：119.44m2

structure：RC

number of stories：2-stories

completion：2013.8

photo：Toshiyuki Yano